無垢の木を上手に使いこなすためには、無垢の木の用途を知ることが大切です。

◆無垢の木といっても、いろいろな種類の木があります。そして、それぞれの木によって適した用途というものがあります。ここでは、数奇屋建築で使う木を例にお話しましょう。

◆世間では、高価な木として檜(ヒノキ)や欅(ケヤキ)が話題にされることが多いようですね。そして、安価な木として杉や松の名前がよく出されます。

◆数寄屋建築のメインはなんといっても杉と松。特に杉は欠かせません。床柱、床框、床天井、座敷の天井、長押など幅広く杉が使われます。でも、杉なら何でもいいってわけじゃない。銘木と言われる杉を使うことが多いのです。

◆次の写真は、吉野杉の中杢(なかもく)の写真です。中杢とは、板の中央部分に指幅程度の線がまっすぐに伸びており左右の柾目が均一なものをいいます。

◆中杢の幅は指3本が最上とされています。上記の写真は中杢の具合といい、左右の揃い方といい、最高級のものです。

◆このような板は、大きな径の木の中心部からしか取ることができません。何百年もの間、丹精こめて育てた木か、自然の中で偶然に生み出された節のない木からでないととれないのです。この稀少価値ゆえに大変高価な木になるわけです。