『木の納まり所を知る』これこそ大工さんの真骨頂です。

『どこにその木が納まったらその木の価値が出るのか』ということです。

お施主さんも、木の納まり所をよく知っている職人さんと出会いたいと感じていることと思います。

弊社の協力企業の工務店さんは、木の納まり所を熟知した会社ばかりです。事例を交えてお話いたしましょう。

私どもでは、数々の数寄屋建築の建物を手がけてまいりましたが、その中でもとりわけ力が入ったのが、神奈川県大和市にある常泉寺の山門です。

このプロジェクトは、横浜の鈴木工務店と一緒に取り組みました。

『木材費と職人の手間代だけで推定1億円はかかった』と新聞でも報道されましたが、極上の木材に至高の技術をもって平成20年5月に山門は完成しました。

山門の間口は9尺7寸(約2.9m)、屋根の大きさは21尺(約6.4m)というスケールです(ちなみに、1尺=30.3cm、1寸=3.03cm)。

まず、木材についてですが、この山門には、北山杉をはじめ、丸柱にクリ、門塀の鏡板には樹齢500~600年といわれる秋田杉(縦4尺2寸)を2枚使用、桁は青森ヒバを使うなど、至るところに銘木が使われています。平成19年9月から材料の段取りをはじめました。

そして、至高の技を駆使しました。
まず、屋根は椹(さわら)を薄く割った柿(こけら)葺き。

格天井は平面ではなく波うす状態にするため裏面をしゃくり加工しています。


そして、もっとも手が込んでいるのは35尺にわたって延びている塀。
北山丸太を半分に割って組んでいく木賊(とくさ)張りという特殊な技法を採用しました。
丸太を半分に割って組み合わせていくのですが、慣れてきても1日3本ほどという進捗状況で数量200本の丸太を組むのに約2ヶ月の時間を費やしています。

【常泉寺山門建築までのエピソード】